コミュニティ研修会inましこ

2月3日(水)、コミュニティ研修会を益子町でおこないました。

今、話題の現場を巡るコミュニティ研修会。まち歩きの現場型研修としては第4弾となります。今年のテーマは・・・

「「ヒジノワ」からたどる「土祭」の協働と協創のまちツアー」です!

 

2009年、益子町でアートイベントのお祭り、「Earth Art Festa 土祭/ひじさい」が開催されました。

官民協働で企画から運営まで行われました。その時、長年空き家となっていた築100年の民家が現代アートの展示会場になりました。その場所が今の「ヒジノワ cafe&space」です。

作家さんや役場の職員、地域住民たちがボランティアで改修し、リノベーションによって展示会場を作りました。

土祭の会期中は、作品が展示されていましたが、土祭終了後、また空き家に戻ってしまうのはもったいないということで、みんなが集まれる拠点として有志で「ヒジノワ」を立ち上げたそうです。

 

ガイドは、「ヒジノワ」のみなさん!午前中は、実際「土祭2015」の会場になっていた場所をバスで周りました。

ヒジノワ副代表の高田さん。本業は大工さんです。優しい口調が特徴的で、高田さんのお話を聴いているとどんどん引き込まれていきます。空き家を改修する時も、ヒジノワを立ち上げる時も常に関わっている重要な方です。

栃木県内のたくさんのお洒落なカフェに携わっているスゴイ方ですよ!

土祭の象徴といえる「土舞台」。益子の土を使い左官・挟土秀平さんの指導のもと、ボランティアのみんなでつくった壁です。幅12m、高さ3.6mの壁と間口7m、奥行き3.5mの土間からなる土舞台です。益子の地層をイメージして作られたそうです。良く見ると焼き物の破片などが見られます。

土祭会期中は、演奏会等が行われます。隣接された屋台で「夕焼けバー」が開店されます。土舞台で演奏される音楽を聴きながら益子で生まれた「食」を味わうことが出来ます。

今回のコーディネーター・企画等でお世話になった簑田さん。土祭事務局の方です。「ミチカケ」という益子町で発行している冊子の編集もされています。私は以前からココロ温まる簑田さんの書かれる文章のファンであったので、初めてお会いした時は、思っていた通りの温かい方だなあと思いました。今回この研修の企画をしていただいた時に、土祭をきっかけに生まれた地域コミュニティ「ヒジノワ」を軸に、参加者の方に「聞いて、見て、歩いて、やってみる」を体感していただければと盛りだくさんの企画を出してくれました。実際に実現出来て良かったです!

本当に感謝の言葉しかありません。ありがとうございました。

西明寺地区のコウホネ田んぼの説明をしてくださった山崎さん。本業は農家さん。益子の農村地帯の60歳以上の方々の記憶に残る水草・コウホネ。水面から伸びる茎に、小さく黄色い花が咲くそうです。昭和30年代後半から川が汚れていく時期にタナゴとともに水辺から消えていってしまったコウホネ。この水草・コウホネを復活させたいと考え、今まで耕してきた層より下の土を掘り起こして、そこに眠る植物の種子を発芽させようと生物が自然に戻るのを気長に待っているそうです。いつ戻るのかわからない状態ですが、コウホネの姿を待ち望む地域の人たちの願いが水の音とともに心に強く響いてきました。

上大羽地区にある綱神社と地蔵院の説明をしてくださった益子町の菊井先生。下野における宇都宮氏の最初の拠点は益子だったという貴重なお話をお聞きしました。

地蔵院は宇都宮氏の菩提寺。綱神社は、鎌倉時代初めに宇都宮朝綱が建立。2つとも同じ昭和25年に国指定の重要文化財に指定されました。宇都宮家の墓もあり33代目の宇都宮政綱までのお墓があります。

最後にグレイズハウスを見学しました。グレイズとは、陶器を焼く際に表面にかける釉薬(ゆうやく)の意味になります。

ここは、戦前、釉薬工場として使われていたこともあり、その名前が付けられました。ゲストハウスとして再生させようという試みから、土祭前の夏にワークショップで一部改修しました。

お昼はヒジノワに戻り「ヒジノワ流 大テーブルランチ会」を行ないました。今回ランチのカレーを作ってくださった古川夫妻。ご主人は、彫刻家の古川潤さんです。

陶器市などでもカレー屋さんを出店されています。美味しいお料理、ごちそうさまでした!

美味しいランチでお腹いっぱいになった後は、土祭とヒジノワの取組みについてお話を聴きました。

 

まずは、土祭事務局益子町観光商工課の増田さんより土祭での住民との協働についてお話を聴きました。

 

土祭は、2009年に初めて開催されてから3年に1度の開催で2012年、2015年と開催してきました。

2009年、2012年は総合プロデューサー馬場浩史さん(スターネット主宰)を中心に開催されました。企画の段階から色々な町民の方に入っていただいて、企画・運営・会期中の実施にあたっていただきました。2013年に馬場さんが亡くなり、これからは、町民主導で「土祭」をやっていきましょうという町の方針を受けて、今回、第3回目の土祭は4回目にあたる過渡期、町民主導に手渡す過渡期として土祭事務局は動いてきました。

1回目と2回目にはない形で町民と協働していく体制を構築していかなければならないということで、どう構築していくか。今回初めて企画運営委員会というものを立ち上げました。14名からなる町民で組織された委員会で、企画段階から土祭事務局と交わって、密に関わりながら企画していきましょうということで委員会を立ち上げました。みなさん多忙の中、会期前、会期中協力していただいたことがあって、今回の土祭が成功したのではないかなと思っています。ただ一口に協働と言ってもみなさんお仕事がありますので関わっていただく関わり方は、事務局が当初描いていた計画どおりには中々いかないものがたくさんありました。たくさんの方に関わっていただくということはネットワークも広がりますが、人と人との関わりが難しいことがわかった今回の土祭でした。

 

増田さんのお話を聴いて一筋縄ではいかない苦労や努力があって昨年の土祭2015が出来上がったのだなあと思いました。

 

他にヒジノワ改修について陶芸家でありヒジノワ代表の鈴木稔さん、副代表の高田さんにお話をしていただきました。建物はあって、土祭で展示スペースにはなっていたけれど、カフェをやるにあたりキッチンの設置や、土間でなく床をはらなくてはいけなかったり、トイレを設置するため、水道管を通したり全部みんなで改修作業にあたったそうです。資金については、陶器市でマーケット営業やランチ提供、登録メンバーの年会費で集めました。

地域団体として、町長や商工会、自治会などに挨拶まわりもしました。

晴れて2010年7月に「ヒジノワcafe&space」がOPENしました。

カフェは、日替わりで登録メンバーが出店しています。広報チラシ「ヒジノワだより」に毎月出店者の紹介が載っています。

スペースは、作品の展示やワークショップを行うギャラリースペースです。ゲストのレンタル料は1日2000円、長期の8日目から1日1000円になるそうです。

 

不定期にイベント等も行っています。

2011年には、トヨタ財団の助成を受けて「光る泥団子ワークショップ講師養成講座」を開催しました。これはいつまでも外部の先生たちに頼るのではなくて、町に住んでいる何かしたいと考えている方たちを講師として養成しようという試みから講座を行いました。

26名の講師の方が2012年の土祭で光る泥団子ワークショップを行いました。

その他作家さん同士の交流の場であったりもし県外の地域との交流も行っています。

 

課題としては最近カフェの出店者の調整が難しくなってきていることです。独立してお店を出した方や転居してしまった方がいるからなのです。運営メンバーの方の本職も忙しいということもあり、元気がなくなってきているのが現状だそうです。

最後にみんなで「光る泥団子ワークショップ」を体験しました。

養成講座を受けて修了された講師のみなさんが来てくれました。陶芸家若杉集さんから益子の土を提供していただき、その土をみんなで磨きました。薄く土を塗るのが難しかったです。人によって光り方がさまざまで楽しい時間を過ごせました。

今回お世話になった簑田さん、岩崎さん、高田さん、今井さん(左より)。上手~く役割分担が出来ています。

 

代表の鈴木さんがヒジノワは、「人と人との信頼関係で成立した 奇跡のような場所」、そして簑田さんが「この場所だけは続けていきたいね!」とおっしゃっていてこの言葉が全てだと思いました。

 

本当に居心地が良く、会うと穏やかな気持ちになれる人たちがたくさんいる場所です。

素敵な研修会を企画していただきありがとうございました。

またすぐに行きたくなる場所「ヒジノワ」。

みなさんも是非訪ねてみてください。

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コメント: 1
  • #1

    たか (日曜日, 14 2月 2016 11:19)

    土祭という名前は聞いたことがありましたが、ヒジノワを中心としたの仲間たちが運営するお祭りだと言うことは初めて知りました。ヒジノワカフェが益子のコミュニティの拠点となってますます益子が活気付くことを期待します。